横須賀のまちいづくりの可能性を広げよう

5月18日ベイサイドポケットで行われた、都市景観フォーラムに参加した。市や商工会、建築士や不動産協会などが会員となっているよこすか都市景観協会が主催するもので、基調講演は横須賀美術館を設計し昨年プリッカー賞を受賞された山本理顕氏で、「横須賀の都市景観」というテーマだった。

上地市長からは、谷戸という地形上の制約を受けるので提言があればというお題があったようだ。

走水でアナゴ天丼を召し上がってきたという氏は、横須賀は軍都・基地のまちだが、もともとは東京湾の漁場で漁師町。その豊かなコミュニティーを大切にすべきで、自分が手掛けた美術館もレストランを誘致し目の前の海や公園内の自然を生かした作りになっている。自然もほおっておけば荒れて暴力的になるから人間が手を入れる。それを作るのが専門家、建築家は力になれると。

海外では、傾斜だらけのベネズエラで、ロープウェーを通してバスケットコートを公共施設として作り学校の授業や放課後の子どもたちでにぎわう拠点をつくり、鉄ではなくボーキサイトの産地のアルミを使って軽量化した建材で家を建てるなど経済活動にもつながるった事例を紹介。私たちのまちという自治意識が大事だという。

別荘地のアマルフィーも、イタリアの靴のフェラガモも一つの強みが大きな観光やまちづくりになっている。横須賀も自然や歴史文化など資源はたくさんある。谷戸でもおしゃれなカフェを作って家から出かける場所を作る、みうら大根は大きすぎて高齢化の進行で食べ入れないから分けて食べる等、消費の仕組みを作ることだと述べた。

つづくパネリストとして登壇した横須賀市都市計画審議会委員長の村山顕人さんとのディスカッションで、山本氏は、建築の役割として会場になっている会館の建築士でもある丹下氏が70年万博で作った太陽の塔のお祭り広場はそこで行われることに焦点を当てた素晴らしいものだとの見解が示され建築の面白さがわかった。

しかし、丹下氏がすすめた都市工学によって用途地区により第一種住宅地区では商業ができなくなってしまったことで生業が切り離されたという。ここまでいかに経済とつなげるかが大切だと聞いてきたので、都市計画法の一つの弊害の大きさがわかった。

都市計画のように地方から提言ができることもあることや、資源としての食事や加工品でも、市が主導して軍都や基地のカレーやハンバーガーなどに偏重していることもある。豊かな海や谷戸の自然や農産物にかかわる人を増やし軍都以前の歴史や伝統を生かしたまちづくりに方向性を変えなくてはならない。